#YoshikazuBlog

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小暮写眞館

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宮部みゆきさんの本「小暮写眞館」を読んで、ふと昔のことを思い出した。
自分はあまり親孝行なタイプの優等生ではなかった。
学生の頃は、当然のごとく反抗期を迎えて、親に向かってたくさんの生意気なことを言ったし、そんな甘えがあったクセに親のスネをかじって生きていて、どうしようもない餓鬼だった。
そんな罪悪感があるせいか、歳をとった親のことは気になるし、家族の行事ということに対して、少しセンシティブなところがあるように思う。


ミステリー色の強い宮部みゆきのこれまでの作品色とは違い、主人公が読者に問いかけるような文体が原因なのかはわからいけれど、去年末に購入したこの本はなかなか読み進めるのが難しかった。
上下巻に分かれている文庫本を購入した自分は、上巻を読んでいるときには、この本の狙いをまったく理解することが出来なくて、まるで読むことが義務であるかのように、なんとなく流れに乗れない感覚で読んでいた。

下巻に進むにつれて、その感覚がどんどんと変わっていく。
読み終わりに近づくにつれ、上巻の物語は最後の50Pのための大きな、大きな布石なのだと気付く。
大型の劇場で公開されるようなハリウッド映画とは違う、単館上映の映画のような、
味の濃いジャンクフードではなく、ともすれば薄味の、それでもカラダが喜ぶご飯のような、そんな感じ。

自分の気持ちの、深い階層に、ゆっくりと染み込んでいくような。
人と人の絆を大切にする感覚。こういう感じをいつまでももっていられたらいいなと思う。

大晦日の夜。
誰かとカウントダウンなんかのイベントに行くんじゃなくって、家族で、コタツを囲んで紅白の後「今年も宜しくお願いします」って言えるような人が読むと共感してもらえると思う。

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)