#YoshikazuBlog

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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10代の後半から20代の前半の時期は、自分にとって最初のターニングポイントだったように思う。
幼少から中学校にあがるまでは、すくすくと育ててもらい、自分で言うのもおこがましいが、明るく元気で活発な少年だった。
そんな自分も中学3年生の頃から色気づき、ファッションにも興味を持つようになっていった。
高校生になると、ポパイやホットドッグプレスを愛読し、DCブランドに身を包むようになり、どんどん自信過剰になっていく。
そんな自分だから、卒業後の軌道に上手く乗れず、友人たちが乗る列車に乗り遅れてしまったような感覚をもったものだった。

そんな時に出会った本が村上春樹の「ノルウェイの森」。
あまり本を読まない自分に、読書の習慣をくれたきっかけの本。


彼の書く文体は、素直で生々しがあり、何故だか繊細で多感だったあの頃をよく思い出させる。
人との関わりや、そこから生まれる気持ちの表現が、あの時の自分を思い起こさせるみたい。

人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているだ。

物語の後半に出てくるこの文章。
自分の気持ちの奥深いところにある衝動を上手く表現された、不思議な感覚。

村上春樹の新作、
個人的にはとても好きな本です。