#YoshikazuBlog

気になったコト。気に入ったモノ。 自分の思ったことを徒然に書いてくブログ。

人間の作法

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叔父の話。
とは言っても、父の姉の夫であるので、血縁関係にはない。
この叔父が幼少の頃から自分を可愛がってくれていて、親戚中でも「趣味が合う」という位置づけになっている。
その理由は、親戚間で語りぐさとなっている、ある出来事があったからだ。


幼少の頃から、自分は人懐こい性格だったようで、叔父のかくあぐらの上によく座っていたそうだ。
それから40年近くが経った今でも、叔父はあの頃のことを「重くて重くて仕方がなかった」と目を細めて話してくれる。

40年近く前の話。
まだ幼稚園にも通っていないころ、叔父に公園に連れて行ってもらった。
自宅から大人の足で10分かかるところにある「戸越公園」という公園。
(ちなみに都はるみが歌う、品川音頭の歌詞に「戸越公園真ん中に〜」とあるので、品川区のほぼ真ん中なんだろう)
携帯電話もポケベルもないそのころに、自分は迷子になって大変な騒ぎになった。

弟を含めて、いとこを4人も引率した叔父が、ちょっと目を離した隙に5歳くらいの自分がいなくなってしまったというありがちな事件。w

必死になって迷子になった自分を探した叔父だが、結局見つけることができず、自宅に戻ってきたところに、大きな声で泣きながら、1人帰ってきたそうだ。
大人の足で10分の距離を、1人泣きながら帰ってきた自分のことを、正月を迎えるたびに、叔父も嬉しそうに話してくれる。


叔父の自宅は多摩ニュータウンにある。

毎朝コーヒー豆を挽いて、ドリップして飲んでいたモダンな叔父。
その部屋には、ところ狭しと本が並べてあって、肉体労働者の父とは異なって博学な叔父を自慢に思った記憶がある。

子供の頃、本を読むのがあまり好きではなかったが、高校を卒業した多感な頃にたくさんの本を読むようになり、
叔父に訊ねたことがある。
「こんなにたくさんの本を所有するのに影響のあった作家、またはジャンルは何か?」という質問。
「好きなジャンルは随筆だ」と言っていたのを覚えている。

当時の自分は、村上春樹村上龍なんかを良く読んでいた。
その後、色々な作家さんの本を読むようになるんだが、近頃は随筆、いわゆる「エッセイ」の良さがようやくわかってきた。

あの頃の小さなやり取りを叔父が覚えてるとは思えないが、今度の正月にはその話をしてみようと思う。

今からあと半年が楽しみで仕方がない。