男の系譜
ちょっとした移動の時や、1人で食事している最中、スマホよりも本を読むように心がけている。
朝晩の通勤ラッシュの中では、今やほとんどの人がスマホを片手に時間をつぶしているけれど、ふと視点を変えてみると、ちょっと異常なんじゃないかと感じるし、近頃はFacebookだって遠ざかりがち。
便利さを手に入れることによって、豊かさは無くなった。世の中こんなに鬱が多いのは、遊びの部分がなくなって、心のバランスをとるゆとりが無くなった悲しい事実だと思う。
煩わしさを避ければ避けるほど、人との距離が離れて、孤独な気持ちになっていくのは自分だけじゃないと思うんだけど、、、
社会人になってから今日までの自分は、多くの先輩や上司のアドバイスに恵まれた。それでも、近頃はそんな説教をしてくれる方たちもめっきり少なくなってしまい、少し寂しい気持ちになる。
なんて気分になった時、決まって選ぶのはやっぱり池波正太郎。
少し説教臭い言葉の使い方は、飲み屋で先輩から熱く叱咤されている心地よさがある。
「男の系譜」。
戦国時代の武将から、江戸末期にかけての先人たちの生き方、考え方をトレースしながら、今の自分らに足りないモノやコト、考え方を見つめ直してくれる良本。
- 作者: 池波正太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1985/11/27
- メディア: 文庫
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確か織田信長の件で、書いてあったフレーズが身にしみる。
「明日死ぬかと思う今日と、明日死なないと思う今日では、今日が違う」
禅問答のようだが、シンプルに気持ちに染みてくる。
エッセイ「男の系譜」は男として生きて行くためには覚悟と決意が必要ということを伝えているんだと思う。モノの少ない時代、常に「死」を見つめて、隣合わせに生きている時代。今の世の中、この感覚に共感を持てる人なんているんだろうか。。。
これから数年後、50歳代になった自分をイメージすることは出来ないけれど、人に責任を押し付けたり、責任から逃げたりするような人間にならないように、もう一度覚悟を決めよう。
自分自身の弱さからも逃げずに、真摯に受け止め、受け入れて、前を見て歩けたらいいな。
数年後、このブログを見てどんな気持ちになるのか楽しみだし、今の自分に恥じないような自分であれますように。
人と人のコミュニケーションってのは、どんなに便利になっても疎かにしては行けないってことだな。
けいふ 【系譜】
(1)血縁関係を順次記した図・記録。系図。譜系。
「―をたどる」
(2)芸術・学問などで、師弟関係などのつながり。
「自然主義文学の―に連なる作家」