ピアノコンサート

子供のころ、と言うか幼少のころに、今では信じてもらうことは出来ないが、よく祖母に「絵が上手い！」と褒めてもらった記憶がある。
いま思えば単なる孫可愛さに言った言葉なのかもしれないが、自分でも思うところがあったのか、中学校にあがるまでは図画工作の時間が大好きで良く絵を描いていた。

中学校に入ってスポーツの楽しさと遊びを覚えると、芸術から遠ざかり、いつしか絵を描くことも減っていってしまった。

そんな自分にも、きっかけと言うのは突然やってくる。

芸術なんてものからは程遠い生活をおくっている自分だが、人との出逢いや影響で、興味が湧いてくるのは、突然温泉を掘り当ててしまったような感覚だ。

辻井信行さんら3組のピアニストのコンサートを鑑賞。初めての経験で緊張もあったけど、心から感動できる素敵な時間だったなぁ。

彼の奏でる音楽には情景がある。
川の流れや、滝のしぶき、木の枝ざわめきが様々な色を放って、その場に広がってくるようだ。

産まれながらに、光や色を知らない全盲の彼は、どんな風に音を感じているんだろうか？

目の見えない彼に、音楽を通してきちんとモノを観ることの大切さを教わった気分。今から絵を描くことはなかなかないかも知れないけれど、絵を描く気分で景色や物事を観ようと思う。