上野 とんかつ ぽん多
安くて美味いものはたくさんある。
でも、ただ安いだけって店もかなりたくさんある。
吉○家の牛丼や、ゆで○郎の蕎麦など、所謂ワンコインで昼食を食べられる店は、「サラリーマンの味方」と表現されることが多いが、まったく共感できない。
「牛丼や立ち食いの蕎麦を食べない」って言っているのではなくて、安けりゃいいと思って食べているだけでは、食に関する感謝など生まれないと思うし、ましてや美味しいものを食べるために働こうなんてモチベーションも持てないと思うからだ。
なので、近頃営業で外出した際に昼食を取る時には、そのエリアを徹底的に調べて、美味しいものを食べさせる店を探すことにこだわっている。
通常ランチにかける金額というのは大体800円から高くても1,200円くらい。(それでもワンコインにはほど遠いけど・・・)その金額は決して贅沢とは思わないけど、反対に安く切り上げていると思っている訳でもないが、「美味いものを!」と思って良店を探していると、やはり目安の金額を大きく超えてしまうこともある。
上野にあるとんかつの名店「ぽん多」はそんな店の一つだった。
ネットで調べていると「ぽん多」は上野とんかつ店御三家のひとつだそうな。
もうふたつは蓬莱屋と双葉(閉店してしまった模様)。
メニューには真ん中ほどにカツレツとあるので、それがトンカツなのだと理解するにはちょっと時間がかかる。
ご飯セットに小瓶のビールをつけて、3,990円。
ネットの評判ではこの金額に対してのコメントも多く、「値段とのバランスが合わない」という声も聞こえた。
だが、そこは百聞は一見に如かず、自分の目と舌で確かめようと訪問。
結論から言うと訪問して良かった。美味しくいただいた。
前に「秋葉原 とんかつ 丸五 - #YoshikazuBlog」でもトンカツについて書いたが、この丸五は脂たっぷりのロース肉であるのに対し、ぽん多のトンカツは脂身が少なく、肉本来の味を楽しむ感じ。
思わず半分は塩を振りかけて食べてしまったほど、肉の味を楽しんだ。
衣もさっくりとして脂っこくなく、感動ものだったけど、何よりも感動したのは、店の綺麗さ。
決して新しい店ではないが、とにかくいたるところへの心がけが行き届いていて清潔感に包まれている。
カウンターはもとより、使いこなされ短く小さくなった包丁、磨き抜かれた調理場など、座った瞬間から背筋がしゃんとする潔さと気持ち良さが同居している。
そして何よりも一番驚いたのは、トイレの綺麗さ。
和式のトイレは、1人のお客が使うごとに「磨いているんじゃないか?」と思うほど清潔。
正直、人の家や高級ホテルのトイレですら、この綺麗さにはかなわないと思った。
ありとあらゆるところに手を抜かず、気持ちよく迎えてくれ、お店の姿勢が伝わってくる。
500円の牛丼にはない価値がそこにはあった。
一生懸命働いて、美味いものを食べる幸せを再確認させてくれるいい時間にもなった。